装丁用のお仕事

2019年10月21日

先日、生命科学と医学の専門出版社・羊土社様より、表紙の柄を担当させていただいた「せん妄診療実践マニュアル」が届きました。 医療従事者向けのマニュアル本です。

羊土社せん妄マニュアル表紙の柄

実はこちらのお仕事のご相談を受けるまで、「せん妄」という言葉を知りませんでした。この本に載っている「せん妄対策の予備知識」によると、せん妄とは 「 身体疾患や薬剤、手術などが原因となり、軽度から中等程度の意識障害をきたした状態」とのことです。身体的な治療を受けているすべての患者さんにみられる可能性があるものの、特に高齢者や認知症の患者さんで起こりやすい症状だそうです。

ご依頼いただいたのは、表紙に使用するための柄/パターンデザインです。特にせん妄を意識する必要はないということで、イメージとしては和柄っぽくて、ソフト感を出しつつも印象に残るような柄をご希望とのこと。後工程の装丁作業に都合がいいように、データはイラストレーターで作りました。

これといった具体的なテーマがないため、とにかく最初は手を動かしながら抽象的な形をいろいろスケッチしてみました。次にPC上でも丸や三角、四角をたくさん並べて、位置を変えたり、ずらしたり、要は遊びみたいな感じです。以前描いた落書きやドローイング等も参考にします。

結果的に7~8点をお送りし、その中から無事1点を選んでいただくことができました。さらに装丁家の方の作業の後に、私のほうで布地のようなテクスチャを追加して、最終納品となりました。できた表紙がこちら。

落ち着いた感じに仕上げていただきました。ちなみにこのマニュアルは、医師の白衣のポケットに収まるサイズだそう。医療関係者の方にも、デザインも併せて気に入っていただけたら嬉しいです。